REEPORT|坂本真綾 20周年記念LIVE “FOLLOW ME” 4/25 さいたまSA

REEPORT|坂本真綾 20周年記念LIVE “FOLLOW ME” 4/25 さいたまSA
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maaya270425_MG_7754共に歩んだ道を辿り、その20年を祝うスペシャルライブ!
「失敗したことや間違えたことはあったけど、振り返ってみると、すべてがどこかにつながっていると思うので後悔がない」(坂本)

 

LIVE REPORT

坂本真綾 20周年記念LIVE “FOLLOW ME”

2015年4月25日(土)さいたまスーパーアリーナ

 

 「約束はいらない」でデビューしてから19年もの間、ただただ良い作品を世に出し続けた坂本真綾。15周年記念の日本武道館ライブ以降は、驚きもたくさんもらった気がする。そして、20周年の幕開けを飾るさいたまスーパーアリーナでのライブ。18,000人を集めたこの会場で、本当に素晴らしいライブを見せてくれた。

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 誰もが楽しみにしていた1曲目は「幸せについて私が知っている5つの方法」。聴いていると自然と笑顔になる、幸せな要素しかないこの曲で、ハッピーにスタートを切る。今回観客全員には、LEDライトを一斉に制御するFreFlowのリストバンドが配られていて、光による演出がなされていたのだが、その光が、曲に合わせてカラフルに会場を彩っていた。坂本真綾のライブを知っている人なら、観客席に光るものがあること自体驚きなのだが、20周年ともなるとこんなことまでしちゃうわけだ。会場が真っ赤に染まって「スクラップ~別れの詩」では〈君らしくあれ 自分のために〉という言葉が突き刺さる。

 

 MCで「どの曲も同じくらい思い入れがあるので、セットリストを考えるのが大変でして。1曲くらい、聴きたい曲が入っているといいですね」と言ったあとに歌った「ループ」。この曲を聴いて思わず涙が溢れてしまう。

 

 そのときに、このライブは20周年を祝うお祭りというだけでなく、共に歩んできた道を振り返るライブでもあるのだと感じた。くしくもそれは、ライブタイトル『坂本真綾 20周年記念LIVE “FOLLOW ME” 』に彼女が込めた思いとつながる。『フォロー・ミー』という、探偵とターゲットが言葉を交わさぬ距離で行動を共にすることで、不思議な信頼感が生まれてしまうという彼女の好きな映画からとったライブタイトル。それは彼女とリスナーとの関係に近いわけだが、アーティストとして独り立ちする過渡期に作った「ループ」。それを聴いていたときの自分の思いと、想像でしかないけど、きっと必死にもがいてたであろう彼女の思いと、そういうものが不意に頭をよぎってしまった。会場には20年間ずっと好きだという観客もたくさんいたので、同じ思いをした人は多かったのではないだろうか。

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 「tune the rainbow」では、会場全体で虹を描き出し、直後のMCでは、会場のLEDライトを光る棒(コントローラー)で自在に操り、ご満悦の坂本真綾。センターステージに移ってからは、アコースティックなサウンドで「パイロット」「指輪」「奇跡の海」と初期ナンバーを続ける。その後の「coming up」は、年末のフェスでも歌っていたノリの良いおしゃれなロックナンバー。サウンド的には相当な差があるが、まったく違和感がないのがすごい。

 

 一旦ステージを後にすると、入れ替わるようにステージセンターには、猫耳を付けた菅野よう子の姿があった。その茶目っ気に観客も笑顔になる。ピアノと巨大スクリーンに映し出される彼女の表情を見守る観客。「夜明けのオクターブ」「紅茶」「バイク」「光の中へ」と続けて「everywhere」を。最初の9年間、プロデューサーとして坂本真綾を見つめてきた菅野よう子が、坂本真綾が初めて作曲した曲を弾くというのは、やはり心に響くものがあった。「Gift」「Rule~色褪せない日々~」などを弾き、最後は「約束はいらない」を会場と共に大合唱。そこで坂本真綾が登場し、あらためてすべての始まりの曲「約束はいらない」、「プラチナ」を歌って盛り上がる。

 

 「この人が私のデビューをくれた人で、私がここにいるのは全部菅野さんのせいなんです。出来心だったのか、それともものすごい才能を見出していたのか」と言って笑いを取ると、「菅野さんのピアノで歌わなければならない曲があります。レコーディングしたときとは違った気持ちで歌えるんじゃないかな」と言って「光あれ」をセンターステージで高らかに歌い上げる。歌は年月が経つと、初めて聴いたときとは違う感覚で聴けたりする。メロディーは変わらないのに、聴く時期や場所によって変化する。音楽ってすごいなとあらためて感じた。そして菅野よう子をセンターから見送ると、「ここからだよ!」と言ってライブ終盤へ突入! アニメタイアップ曲をたてつづけに披露した。「トライアングラー」の力強さと「マメシバ」の時代を超えた普遍性、「おかえりなさい」では、客席のライトが“たまゆら”のように見えた。これには「すっごいきれい! 私からの景色が一番きれい。いいものだな!」と言うと、「風待ちジェット」ではお馴染みの振り付けをみんなで踊る。

 

 「結局私が言いたいことは最後の曲に詰まってます!」と言って歌った本編ラストは「シンガーソングライター」。彼女にとって音楽がどういうものなのか、音楽とは何なのか。〈生きることは音楽〉と歌い切るその歌を、観客も噛み締めながら聴いていた。

 

 で、本来おまけであるはずのアンコールがかなりド派手だったのも20周年ならでは。天井からバンドセットが降りてきて、そこでthe band apartが、トリビュートアルバム『REQUEST』にも収録されている「約束はいらない」を披露する。すごくカッコいいので聴いてほしいが、そこから坂本真綾が登場して、彼らが提供した楽曲「Be mine!」を、彼らの演奏で歌う。サビの後ろで踊るようなギターが聴けたのは感動だった。再び菅野よう子を呼び込み、“記憶だと2人で歌ったことがない”と言って歌った「そのままでいいんだ」。続く「eternal return」では、『坂本真綾 LIVE TOUR 2011 “You can’t catch me”』で使用した映像のリメイクが流れた。そこで飛び出したが、そのツアーで使用するはずだったものの、震災の影響で最初の2公演でしか使えなかったバスの巨大風船。この演出は知らされていなかったということで、歌いながら思わず涙。

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 そのツアーでは、いろいろな決断をしていく彼女の姿、そしてツアー中の振る舞い、“日常”を取り戻すために必死だったことなどが思い出される。中でも、周りのスタッフが作り上げたものが全部披露できなかった悔しさというのは、当時のMCからも感じていたことだった。「あれを作った人がかわいそうだと思っていたので、日の目を見れて良かったね」とは、心からの言葉だろう。

 

 最後のMCでは「今回、20年を振り返ったとき、どんだけほじくり返しても後悔していることが1個もないことがよくわかりました。失敗したことや間違えたことはあったけど、振り返ってみると、すべてがどこかにつながっていると思うので後悔がない。そういう確信があるから、これから先も普通に毎日を続けていくことができる」とメッセージを送り、最後は「映画『たまゆら』の主題歌で“卒業とかサヨナラは大丈夫”というキーワードで曲を作ってほしいということだったけど、20周年でリリースするものなので、私の20年も重ねて作りました」と最新シングル「これから」を、自身でピアノを弾きながら、後半はスクリーンに映し出されていた過去の映像をじっと見つめながら歌う。20年間の経験すべてが今の自分につながっている。若い坂本真綾から、実際のライブで歌っている坂本真綾へ切り替わる演出は、共に歩んできたリスナーとして、とても感慨深かった。周りに感謝を忘れない、カッコいいけど、実は泥臭く歩んできたような、そんな彼女を見てきたからこそ、ついていきたいと思ったファンも多かったのではないだろうか。そんなことに気づいた素敵なライブだった。最後はデビューの頃から歌い続けてきた「ポケットを空にして」。彼女とファンとの日常という旅は、これからもずっと続いていくだろう。

文/塚越淳一(FAMiLiES)

 

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