5年7ヶ月振り!!『浪花のテニス聖書』こと 白石蔵ノ介の5枚目となるシングル完成!! シングルのリリースとしては五年振りとなる白石蔵ノ介の「Empty Sky」。白石を演じる細谷佳正さんが今までにない新鮮さを感じた渾身の一曲。全国大会準決勝で戦った不二との試合、あの熱い夏の日を細谷さんが歌います。
文/磯貝綾子
「せやな」って言った白石の切ない表情が、
この“夏のエレジー”の言葉で、浮かんできました
――白石としてはシングルリリースがかなりお久しぶりですね。
細谷 何年ぶり? うわ~最後にシングル出してから五年七ヶ月も経ちました? ユニットやアニくじのCDではずっと歌わせていただいていたんですけどね。
――新曲「Empty Sky」の曲を最初に聴いた時の印象はいかがでしたか?
細谷 今まで白石蔵ノ介としてたくさん歌わせていただいてきましたけど、これまでの延長線上にある曲ではなく、まったく新しいというか雰囲気がガラッと変わったなと感じました。今までの白石の曲は、自分の中に共通していたものがあったんですよ。歌詞を台詞と同じくしゃべるように歌う感覚があったんです。だけど、「Empty Sky」は最初から最後まで一本のストーリーが展開していくような印象がありました。今まで「白石蔵ノ介が歌う」という感じだったんですよね。それが、この曲は白石本人というよりも少し離れた視点で歌っている。白石のPVに流れているような。夏の全国大会準決勝で不二と試合をしたことを歌っているんですけれど、結局、四天宝寺は青学(せいがく)に敗れて決勝に進めなかった。それを回想しながらストーリーが進んでいる印象がありました。
――あの時間軸の白石が歌っているのとは違うような。
細谷 白石本人が言いたいことがあって歌っているというよりも、回想しているイメージなんですよね。白石のシングルを僕が歌ってからだいぶ月日も経っているし、OVAで不二と試合をしてからも時間が経ってからこうして歌わせていただいているので、僕としてはちょうどいい距離感の曲だなと思いましたね。いわゆる試合中の辛さみたいなものはこの曲には感じないし、どこか試合した時の彼よりも少し達観した彼がいるような気もするんです。
――そういえば、今までの白石の曲は現在進行形の曲が多かった気もしますね。
細谷 そうなんですよ。白石の声をやらせてもらっているからこそしっくりくる。僕にとっては大きなきっかけをくれたキャラクターで、白石のライブ(2010年)のこととかいろいろやってきたことを思い返しながら、こういう曲を今歌えたことがいいなと思いました。
――歌ってみて、ここのフレーズがグッときた部分は?
細谷 (食い気味に)「夏のエレジー」です! もうホントに好きで、すごくいいな~と思いました。また深刻に歌ってないのもいい(笑)。今までの曲って深刻なものが多かった気がするんですよね。
――それかコメディ路線か。両極端に振り切ってますよね。
細谷 アルバム『Medicine or…?』に収録されている「Home Sweet Home」という曲は、試合に負けて帰る様子をシリアスめに想いを吐露していましたけどね。この曲調で「夏のエレジー」ってひねくれちゃうというかおもしろく聴こえちゃうのは、達観しているのかなと思ったんです。ちっとも悲しい感じがしないところがいいんですよね。OVAの時、白石は不二には勝ったけど納得ができなくてコートを去っていると、謙也に「勝ったもん勝ちや! そやろ? 白石」って言われるんですけど、「せやな」って切ない表情がこの「夏のエレジー」の言葉で、浮かんできました。あと、二番のAメロは、試合で不二が「百腕巨人(ヘカトンケイル)の門番」を出した時のことを歌っていると思うんですけど、激しく戦っている様子は感じられない。一番のサビ「必ず見極めてやるから さらけ出せ」の部分は、白石が不二に言っているようにも思えるし、不二が白石に言っているようにも聴こえるんですよね。そこもいい。
――ジャケットも楽しみです。
細谷 今までにない感じです。ユニフォームを着てないのは……今までも結構ありました(笑)。マイケルの格好してたり(笑)。なんかね、この白石の服を見ていると、武道館でやった『テニプリフェスタ2013』に出た時に僕は白いジャケットだったんですよ。白石役だから。確か黄色い花も付けていた気がするんですけど、それと今回のジャケットが重なります。自分の中でですけど。白石の表情がちょっと大人っぽい印象も受けました。
――白石インタビューとしてはお久しぶりのアニカン読者へメッセージをお願いします。
細谷 ずっと演じてきたはずなのに、とても新鮮に歌わせていただきました。登場時のようにコンスタントにCDを出させてもらうのも、とてもありがたく素敵なことだったんですが、こうして何年かぶりに出させてもらうのも、その間の時間は自分にとってすごく意味があるものでした。しかも今までの主観的な歌とは違う、客観的な歌を歌えたのは感慨深かったし、感動しました。ファンの皆さんも待った時間があったからこそ、「いいね」と思える曲になっていますので、肩の力を抜いて聴いてもらえたら嬉しいです。
白石蔵ノ介「Empty Sky」2015年4月15日発売
①Empty Sky
②Empty Sky(Original Karaoke)
NECM-10223|¥741+税
発売元:ドリーミュージックパブリッシング/FEEL MEE
販売元:キングレコード
(c)許斐 剛/集英社・NAS・新テニスの王子様プロジェクト