Vol.81 茅原実里

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ニューアルバム『Sing All Love』2010年2月17日発売!!

茅原実里スペシャルロングインタビュー Special Long Interview Part1

2007年『Contact』、2008年『Parade』と金字塔を打ち立ててきた茅原実里が、待望のニュー・アルバム『Sing All Love』をリリースする。 これまでのアルバムでシーンの風景をも変えてきた彼女が、2009年の活動を経て得た自由な発想によって生み出した、まったく新しい茅原実里の姿。 彼女自身“攻めの作品”になったと語る傑作を徹底研究する。

top_anican1 前に向かって突き進んでいく、躍動感のある1枚 ランティスからは3枚目となるアルバム『Sing All Love』ですが、今回も充実した作品となりましたね。 茅原 “3枚目だからこそ出来たアルバム”になったと思います。だいぶ攻めている気がしますね。「こんなに攻めちゃっていいのかしら?」っていうか。でもいいんです! 3枚目だから(笑)。 まさにそのとおりで、3枚目だからこそできる自由なスタイルというか。こういった攻めの姿勢は制作前から想定していた? 茅原 イメージはピッタリですね! すごくアグレッシブに攻めていけたらいいなと思っていました。前に向かって突き進んでいく、躍動感のある1枚になりました。いままではテーマをしっかり決めてコンサートを見ているようなかたちで作っていったり、『Contact』『Parade』という世界を作り上げていくという感じだったんです。そういう流れを考えて、いまを突き進むのがいいのかなって思いましたね。 それだけに攻める曲では攻めて、聴かせるところは聴かせるメリハリが強いですよね。 茅原 そうなんですよ。一曲一曲の振り幅が振り切っちゃっている感じですよね。その切っ掛けを作ってくれたのが「Final Moratorium」で。作曲も、歌詞の世界観もそうですけど、いままでの茅原実里では歌えなかったというものだと思います。 確かに、いまだから歌えるというテイストの楽曲が増えた印象がありました。 茅原 うん、そうですね。そういう曲だらけな気がするなあ。 それらがバラエティー豊かに配置されていて、いろんな角度から聴けるんですよね。「書きかけのDestiny」や「Perfect energy」といったロック・サウンドにも挑戦されたり。 茅原 今回はロック色の強いものが多いんですよ。「書きかけのDestiny」と「Perfect energy」では、アルバムで初めて生のドラムで録ったんです。音的にもバリっと打ち込みのがあればバンド・サウンドもあり、すごくシンプルなものもあって。聴いていて飽きないと思います。自分でも飽きないというか(笑)。 そういったバラエティー豊かな楽曲のなかで、茅原さんのヴォーカルもさまざまですね。曲によってはより感情をさらけ出すような部分も聴かれます。 茅原 それも、ライブと比例して変わってきているんですよね。レコーディングもライブといっしょで、同じ時期からもっと表情豊かにというか、もっと感情を表に出したいなと。ピッチばっかり気にしているのはおもしろくなくて、「どうやったら感情を歌に出せるんだろう?」っていうことを考えていて。 確かに激しさや生々しさというものが声に感じられるような気がするんですよね。 茅原 そうですねえ。カッコつけなくなったんでしょうね、マイク前でも。別にカッコつけようと思っていたわけじゃないけど、整ったかたちで歌おうと思わなくなったんでしょうね。いつでも裸でいられたらいいなって、ステージの上でもレコーディングブースのなかでも。 それはきっと、昨年こなしたステージだったりの経験から生まれたことなんでしょうね。 茅原 そうですね。きっと、そうなんだろうなあ。自分でもそうしようって、自然になってきているのがおもしろいなって。もっと自分のレベルを上げたいと常に思いますし、いろいろな思いが強くなったり、力が入っていたところを抜いてみようかなと思ったり、いろいろ感じていますね。 それが今回のアルバムに込められているという。本当にいろんな聴き方ができますしね。 茅原  アルバムを聴いてライブを楽しみにしてくれたらいいなと思いますね。演出でもおもしろいことができるんじゃないかなって思うし。3枚目までくるといいですね!(笑)。 自由度が増してやれることも増えますしね。 茅原 はい。楽曲が増えていくと、ライブもどんどんしやすくなっていくし。と同時に選曲でも悩むんですよね。「これ歌えなくなっちゃうの?」っていうのがどうしても出てくるんです(笑)。 ライブの曲数にも限りがありますからね。 茅原 でも幸せな悩みですよね。だからこそ一曲一曲歌う姿勢が変わってくると思います。もしかしたらツアーで歌うのは最後になる曲があるかもしれない。そんな曲も出てきますよね?  やればやるほど。 そしてアルバムの初回盤には昨年の野外ライブ『SUMMER CAMP』の模様を収めた映像作品がつきますね。相当な収録時間と聞きましたが……。 茅原 2時間ぐらい入っていますからね! 『SUMMER CAMP』は本当に楽しかったですね。カメラは回してはいたんですけど、まさかアルバムの特典になるとは思っていなかったです(笑)。 そして、茅原実里の旅は続く──。アルバムに続いて早くもリリースされるニュー・シングルは、大注目の劇場版『涼宮ハルヒの消失』テーマソング「優しい忘却」。長門有希として作品の中心を担った彼女が歌う、シンプルであまりに切ないメッセージ。珠玉の一曲に込めた思い、充実の2009年を経たその先の茅原実里について、あらためてうかがってみた。 top_anican2 (C)2009 Nagaru Tanigawa・Noizi Ito/SOS団 長門有希役で出させていただいたことが今のすべてに繋がっている さて、アルバム『Sing All Love』につづいて、1週間後には、劇場版『涼宮ハルヒの消失』テーマソングの「優しい忘却」がリリースされます。先ほど出来たてのものを聴かせていただいたのですが……。 茅原 アカペラ・バージョンで? はい。アカペラというのにも驚きでしたが、とにかく素晴らしい楽曲になりましたね! 茅原 本当ですか! ありがとうございます。特に、『涼宮ハルヒ』の世界を知っている人、(長門)有希を知っている人だったらとてつもなく切ない曲ですよね。 原作者の谷川 流さん原案による歌詞がまた泣かせますよね。さて、まずは『消失』のテーマ曲を歌うと聞いたときの感想は? 茅原 ただ嬉しい……っていうのはもちろんですけど、一方で責任をすごく感じました。『涼宮ハルヒの憂鬱』という作品に長門有希役で出させていただいたことが、今のすべてに繋がっているので。声優活動もそうだし、音楽活動もそう。その『ハルヒ』が劇場版になるということで。しかも「消失」はみんなが楽しみにしているエピソードだということもわかっているので、そこで流れるテーマソング、これはもう愛情を込めて歌いました。疲れましたね~(笑)。 大事なところで流れる楽曲だけに、込める思いも相当だったんじゃないかなと。 茅原 これが、作品を見た人に残る有希の気持ちであり、また歌になってくれればいいなと。そういう願いを込めて歌いました。みんなの思いが入っていますね。あと『ハルヒ』を知らない人がこの曲を聴いたらどう思うのかも興味深いですよね。 とにかくメロディーがまず素敵ですよね。これが伊藤真澄さんのペンによるものだというのもまず驚きだったんですが。 茅原 そうなんですよ。素晴らしいですよね。私、いちばん最初にこの曲のメロディーを聴いたときに、「歌詞もいらないんじゃないかな?」と思ったんですよ。「ラララ♪」で充分なんじゃないかなって、思わず言ってしまったぐらい。それでも有希の思いは伝わるんじゃないかなって。感動しました。 本当に、それこそ劇場版の大事なシーンで、かつアカペラで流れるというところにも、この楽曲のシンプルな魅力があらわれているんじゃないかと。 茅原 そうなんです! アカペラですから……アカペラで歌うってそうそうないですよね? もうプロデューサーの、角川書店の伊藤(敦)さんのなかに「アカペラでいこう」という揺るぎないものがあって。 本当に、『Sing All Love』とはまた違った魅力、それこそ茅原さんの声ひとつというのがここで聴けるという。非常に贅沢な流れだなと(笑)。 茅原 私もまさかこんな流れになるとは思わなくて(笑)。でも早くみんなに聴いてもらいたいという作品が出来たのは嬉しいですね。 この2枚から2010年の茅原さんの活動も本格化していくわけですが、それも昨年の経験があってのことだと思うんですね。茅原さんから見て昨年はいかがでした? 茅原 2009年はライブが多い年だったので、ライブを通していろんな経験をさせていただきました。ライブ自体にものすごい魅力を感じて、歌うことに対してどんどんポジティブになっていけましたね。『Parade』ツアーで全国を回ったし、初の野外もあったし。あとはイベントも多かったですしね。マレーシアにも行かせていただいて。 そして大晦日にはカウントダウン・ライブもありました。 茅原 カウントダウン、初めてでちゃんとできるか心配でした。だって、カウントダウンってそのときしかないじゃないですか。ずれてしまったらどうしようと思って(笑)。でも無事にできました、カウントダウン。怖かった〜(笑)。 そういった経験を経て、ご自身のなかで成長を実感できることはありますか? 茅原 そうだなあ……ライブを1回やるごとにちょっとずつ変わっていっているんだろうなって思うんですけど、自分で明らかに分かるのは、ステージで自由に動けているって思うことですね。もっと自由にできるんじゃないかなって思いますし。いままで直接顔を見て歌うのに照れちゃっていたんですけど、いまはもっと楽しみたいなって。自分の歌だけに夢中になっちゃってた昔とは随分変わったなって思いますね。 そして今年も4月からツアーがスタートしますしね。 茅原 そう! 早くやりたいです!(笑)。行ったことのないところへも行くので、楽しみですね。東京でライブをやることが多いので、普段足を運べない人に来てもらえると思うと嬉しいなあ。スタッフのみんなともどんどん信頼度が高くなってきて、みんながいるから頑張ろうっていうのは強くなりましたね。みんなも楽しめるライブにしたいです! みのりんによる『Sing All Love』全曲解説 表紙でのインタビューに続いて、こちらではみのりんによる『Sing All Love』の全曲解説をお届けします。アルバムを聴きながら、じっくりご覧ください!! top_anican3 1.覚醒フィラメント 作詞:畑 亜貴 作曲・編曲:菊田大介(Elements Garden) 茅原 打ち込みで疾走感のある曲ですね。これはめちゃめちゃノリますよ。ライブでもガンガン掛け合えるような曲ですね。速いし、まさにいまの自分とシンクロする部分が歌詞にあるので。「止まれないし、叫びながら走りまっせ!」っていう感じで(笑)。歌詞にもビックリしますけど、それがまたピッタリはまってくる曲なんですよ。メロディーもすごくわかりやすいですし。 2.Final Moratorium 作詞:こだまさおり 作曲・編曲:菊田大介(Elements Garden) 茅原 いちばん最初に出来た新曲ですね。曲を聴いたときに頭のなかで何かがグルグル回っているイメージがあって、自問自答を繰り返しているような内容がすごく合うなと思っていて。昨年仕事をしてきて、自分のなかで答えを出すというのがすごく大事だなって思ったんですよね。その“answer”という言葉を受けてこだま(さおり)さんが書いてくださいました。答えを出す前のハラハラ感というか。 3.Tomorrow’s chance 作詞:畑 亜貴 作曲・編曲:菊田大介(Elements Garden) 茅原 私も歌っていると元気になれる曲です。聴けば聴くほど、歌えば歌うほど好きになって、自分自身も力をもらえるし、みんなにもありがとうございますを渡せている曲だと思います。みずから前に進み出していくし、そういう力になる内容にしてほしいなって、自分でも歌詞を書いて「こんな雰囲気にしたいんです」って初めて伝えました。 4.書きかけのDestiny 作詞:こだまさおり 作曲・編曲:齋藤真也 茅原 デモを聴いているときに「こんな曲も歌えるんだ」っていう嬉しさがありましたね。そのままストレートに行くので新しいなと思って。ライブで、みんなが喜んでいる映像が頭に「うわっ」と広がる感じでしたね。新鮮だと思います。でも難しかった〜! 打ち込みに慣れていたからかも知れません。だから必死でしたね。必死にやっていたら終わっていたと(笑)。 5.孤独の結晶 作詞:畑 亜貴 作曲・編曲:藤末 樹 茅原 最初聴いたときはテンポも速くて雰囲気も違ったんですよ。テンポを落として、畑(亜貴)さんの歌詞を入れることによって……すごいことになりました(笑)。女の情念というか。歌っていて苦しくなりましたね。歌にはしっかり魂を込められたと思います。 6.Love Medicine* 作詞:こだまさおり 作曲・編曲:菊田大介(Elements Garden) 茅原 明るくてキラキラした曲ですね。ちょっと「ふたりのリフレクション」みたいな。これはまさにタイトルどおりの“愛の薬”ですよ。「これを聴いて元気になってね!」という曲ですね。温かくて優しくて元気な曲。すごく大事な、笑顔で歌える曲です。 7.雨音のベール 作詞:こだまさおり 作曲・編曲:オオヤギヒロオ 茅原 夕暮れ時が似合うような、懐かしさもあり切なさもあり、心をキュっと締めつけられる楽曲ですね。メロディーもすごく切なくて。でもアレンジは新鮮な感じがします。ギターもすごくカッコいいし。デモテープを聴いたときから「これやりたい」って言っていた気がします。 8.tea for two 作詞:こだまさおり 作曲・編曲:オオヤギヒロオ 茅原 曲順でいちばん最後まで悩んだ曲です。軽くラクに歌いたかったんですよね、可愛らしい感じで。「アルバムだから入れられる曲」って思ったりもしていたので、そのラフな感じを歌に入れたかったし、女の子同士について歌った曲も初めてだし、ここまで自分に近い、共感できる曲はないですね。 9.PRECIOUS ONE 作詞:こだまさおり 作曲・編曲:藤末 樹 ストリングスアレンジ:虹音 茅原 とってもメロディーが素敵な曲で、シングルでこういうタイプの曲を選ぶのも初めてだったので、新しいことがひとつできたなと思います。曲の雰囲気が冬っぽい感じがして。リリースも冬だったし、歌詞の内容も季節感を出してみようってこだまさんと話していて、冬にぴったりなラブソングになったなと思いますね。 10.サクラピアス 作詞:畑 亜貴 作曲・編曲:渡辺和紀 ストリングスアレンジ:大久保 薫 茅原 こういう曲を歌いたいって言って、そのまま作っていただいた曲ですね。大好きなんです。自分のルーツ・ミュージック的なところを入れようと思って。でも難しかった!(笑)。どんどん鍛えていかなきゃと思います。ライブでも桜を散らせたらいいなあ。 11.Falling heaven’s now 作詞:畑 亜貴 作曲・編曲:小高光太郎 茅原 この曲はすごく難しくて。でも次に繋がっていくんだったらやりたいなと思って、歌わせていただきました。コーラスの量がすごく多いんですけど、コーラスを多めに入れた楽曲を作りたいというのは前からあったので、いざレコーディングに臨んだんですが、心が折れそうになりました(笑)。ファンタジックなミュージカルみたいで素敵な楽曲です。 12.Flame 作詞:畑 亜貴 作曲・編曲:菊田大介(Elements Garden) 茅原 これはもう「菊田さん!」という曲ですね。「君がくれたあの日」を思い出すような、兄弟のような曲ですね。最初に聴いたときから馬が走っているようなイメージで。馬はぜんぜん出てこないですけど(笑)、戦うイメージ。凛と勇ましく歌いたかった感じですね。 13.Perfect energy 作詞:畑 亜貴 作曲・編曲:齋藤真也 茅原 これいい曲なんですよー! この曲と次の「sing for you」の並びは動かせなかったですね。終わりに合うというか、全体を包み込んでくれるあったかさもあるような曲で。歌詞もいいですよね。ドラムでガンちゃん(岩田ガンタ康彦)に叩いてもらったんですけど、バンドのみんながいるっていう感じでレコーディングできて、よかったです。 14.sing for you 作詞:茅原実里 作曲:rino 編曲:藤田淳平(Elements Garden) 茅原 初めて詞を書かせていただきました。これまでも、アルバムのなかでは感謝の気持ちを歌った楽曲があって、今回も入るんだろうなって思ったときに、自分で書きたくなったんですね。いままでは自分はもう歌うことが役割だからってずっと思っていて、だから作詞をしたというよりは、みんなに手紙を書いたような、自分の気持ちなのかもしれないです。それだけ受け取るものがいっぱいあったんですよね。自分からその気持ちを返したい、って自然に思えるようになったんだと思います。 Text /澄川龍一

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