FictionJunction 『elemental』 梶浦由記ロングインタビュー Part3

FictionJunction 『elemental』 梶浦由記ロングインタビュー Part3
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セルフカヴァー中心だった1stから約4年9ヶ月。梶浦由記の個人ユニット、FictionJunctionが2ndアルバムをリリース。
新録4曲は既存曲とのバランスをとることもせず、“根本”から湧き出した、まさに梶浦の現本質。
そんな新曲だが、ノンタイアップということで語る機会の少ないということで、微に入り細を穿つように細かくご教授いただいた。作曲家梶浦由記の遊び心やこだわりを感じ取ってほしい。

歌う方は気持ちいいけど
演奏する方は気持ちよくない曲(笑)

――「凱歌」が生まれたきっかけは何でしたか?

梶浦 「Emの曲がやりたい!」。我ながらなんていい加減な(笑)。

――なぜEmかを教えてもらってもいいですか?

梶浦 バンドが気持ち良く入れる曲をやろうと思ったんです。だから、「Emで」「これぐらいのテンポ感で」と決めてから、「じゃあどんなメロかな?」って感じで作っていきました。

プロデューサー アドリブでセッションする時に多いのがAmかEmで。だから梶浦本人は、「バンドサウンドを作ろう、バンドさんから面白いフレーズを引き出そう」という確信犯的な考えがあったと思います。

梶浦 その通りです。Emって、バンドさんにとってはインスピレーションが広がるキーなんですよね。開放弦使いまくりなので色々な遊びができるし、リフも自由だし。実は、「Pararel Hearts」や「eternal blue」「時の向こう-」ってすごく嫌なキーなんです。メロディありきで、歌い手さんに合わせて半音ごとに定めていく作りなので、不自然なキーが多いんですね。G#とか、見ただけでそっぽ向きたくなるような譜面です(笑)。そういう曲だと(バンドは)言われた通りに弾くしかないし、「Parallel-」なんかは転調も多くて、ライブで弾いていても実は気持ち良くないんです。歌は気持ちいいけど、弾く方は結構必死で、「来たな。よし追うぞ」みたいな感じになっちゃうので(笑)。そうじゃない曲を作りたかったんです。

――だからEm?

梶浦 Emだと楽器の鳴りもいいので響くし、聴いていても気持ちいいし。そういういい加減なところから始めた曲ですね。コードもほとんど動かず繰り返しで、転調もなし。メロディもあることはあったんですけど、「ギターはこんな感じ」みたいにバンドを先に録っちゃってから、メロディやコーラスの重なりは後から組み立てました。途中のちょっとブレイクっぽいところとか、合間で遊んでるコーラス系とか、全部後からですね。

――バンドの皆さんは喜びましたか?

梶浦 どうでしょう。サントラ曲にはEmも多いので。だから、ちょっと歌メロもサントラっぽい感じにはなってますね。

――じゃあ、ライブではサントラ曲をやる時の方が?

梶浦 楽しいです(笑)。ライブでの演奏はサントラ曲の方がやりやすいです。サントラ曲はよっぽどのことがないと、転調したり、「次はDですから切ないメロ入れましょう」みたいなことはないので。

――「storm」はセルフカバーですが、なぜこの曲を選んだのでしょうか?

梶浦 非常になじみやすいメロディーの曲で、ある意味「ザ・梶浦」的なメロディの曲だったのでカバーが非常にしやすいんですね。それに、今回の新曲がちょっととっつきにくいメロディだったので。あとはシングルとかになった曲でもなかったので、聴いたことがない方もいらっしゃるかと思って。そういう曲を収録させてもらえたら嬉しいな、と。単純に「気に入ってた」というのもあるんですけどね。元の曲ではアコギが中心のアレンジで、小清水亜美さんが可愛らしく繊細さを歌ってくださっていたので、今回はドラムからバンドを全部入れちゃって「悲劇にしちゃえ」みたいな。というわけで歌はWakanaちゃんです。

――悲劇が似合う?

梶浦 そう、悲劇が似合う女に(笑)。某Wakanaさんが歌ってるのがすぐ目に浮かぶメロディでもあったんですよね。前(のバージョンは)は、遠い嵐を窓から見て不安がってるような歌でしたけど、「ざんざん降り」って感じになりました(笑)。

つづく

Text/清水耕司(ボーグナイン

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