アニソンジュークボックス ~今日、なに聴く? 0339
ニノミヤユイ / 哀情解離
河瀬タツヤのアニソンジュークボックス ~今日、なに聴く?
金曜日は新作・準新作CDを特集。
第339回は2020年12月23日に発売されたニノミヤユイのミニアルバム「哀情解離」を紹介します。
“陰×ロック”をテーマに、様々な角度から人間の負の感情を表現した渾身の一枚。
デビュー当初から世間と自分のズレや生きづらさを歌い続けている彼女ですが、今作は音楽ジャンルを絞ったことで、より深いところまでそれらが表現されているように感じます。
最初に紹介するのは、リード曲にもなっている「痛人間賛歌」。ロックバンド・ミオヤマザキが提供したこの曲は、激情的に奏でられたエレキギターと、荒々しく歌い上げるニノミヤユイのボーカルで、アイデンティティが崩壊しそうな一人の“痛人間”を表現しています。サビの「お前なんの為に生きてんの?」という豪速球な問いかけは、楽曲に共感する人ほどぐさぐさと刺さるのではないでしょうか。
彼女の音楽のルーツである、ボカロに関連したアーティストの曲もインパクト抜群。DECO*27が作詞・作曲を手掛けた「サイセンタン・コンフュージョン」は、人間の劣等感をキャッチーで疾走感のあるサウンドに乗せて表現。蜂屋ななしが楽曲提供した踊れるロックナンバー「No attention」は、縦ノリできそうなツーステップのビートや、ピアノやシンバルなど様々な音が一体となったオシャレな雰囲気がたまりません。
4曲目の「Indelible」は、少し懐かしさを感じるメロディと、ストレートにファンに想いを伝えた歌詞が印象的な、このアルバム唯一のバラード。ラストの「紅い絆」はストレートにカッコいいアニソンロック。宗教的な言葉を散りばめた厨二感のある歌詞も、今作のテーマに照らし合わせてみると、人間の狂気を表しているようでなかなか趣深いです。
全5曲ではありますが、どの曲もパンチ力が高いのが素晴らしい。さらに磨かれていく“陰キャのカリスマ”の今後に、これからも注目ですね。
ニノミヤユイ / 哀情解離
試聴動画 / 哀情解離 https://youtu.be/SLlz8oULvKs
MV視聴 / 痛人間賛歌 https://youtu.be/mC55NAGGPSI
MV視聴 / サイセンタン・コンフュージョン https://youtu.be/6kO9IPaPq7I
ニノミヤユイ / 哀情解離 / Mini Album / 2020年12月23日発売
01. 痛人間讃歌
作詞:mio(ミオヤマザキ) 作曲:taka(ミオヤマザキ) 編曲:ミオヤマザキ
02. サイセンタン・コンフュージョン
作詞・作曲:DECO*27 編曲:Rockwell
03. No attention
作詞・作曲・編曲:蜂屋ななし
04. Indelible
作詞:ニノミヤユイ 作曲・ 編曲:アッシュ井上(Dream Monster)
05. 紅い絆
作詞・作曲・編曲:DjeDje
LACA-15849 / ¥2,200+税
Label:ランティス / 発売元・販売元:バンダイナムコアーツ
レーベルサイト www.lantis.jp/artist/ninomiyayui/
公式ブログ https://ameblo.jp/ninomiyayui-0906/
公式Twitter @yuininomiya0906
Profile
河瀬タツヤ|アニソンライター。2012年からアニソン情報ブログを運営するほか、同人サークル「アニソン ア・ラ・カルト」としてデータに基づくアニソン評論を執筆中。