予期せぬ世代差パンチ

予期せぬ世代差パンチ
LINEで送る

washizaki83『天空の城ラピュタ』を劇場で観た

というのは、ちょっとした自慢だ。

 

確か中学一年の時に、

友達のN島君とN島君のお母様と観に行った。

夏休みということもあり、映画館は子供だらけ。

なので、残念ながら席には座れなかったが、

立ち見であることなど全く気にならないくらい

物語に引き込まれてしまった。

 

という話を若い子にしたら、「立ち見って何ですか?」と質問されてしまった。

そう言えば、ほとんど映画館に行く習慣がないのでうっかりしていたが、

最近の映画館は立ち見ってシステム基本的に無いのね。

キラキラの目で「羨ましい~」って言われると思ってたんで、

これは大層恥ずかしかった。

これが例えば、「初めて買ったのはCDじゃなくてレコードだった」とか、

「レンタルビデオは一泊千円もした」とかいうエピソードならまあ仕方ない。

古老を気取って、若人相手に

年寄り自慢をしてやろうというハラが最初っから(多少は)あるからである。

しかし、予期せぬ世代差パンチをくらってしまうとなかなか立ち直れない。

「おじさん」なんて半ば自嘲気味な一人称を使っているものの、

やはり、自分の中ではまだ「若い」つもりであるからだろう。

 

そう言えば十代の頃、四十くらいの知り合いに突然

「なあ、五十円玉っていつから穴ぼこ空いてた?」と質問され、驚いた記憶がある。

「ついこないだまで穴なんて空いてなかった気がするけどなあ…」と呟く姿を見て、

何言ってんだこの人? と思ったものだ。

今調べてみると、有孔の五十円玉が発行されたのが1959年。

前述の会話があったのが、1990年頃なんで約三十年前。

その歳の離れた友人にとっては、

十歳くらいまでは無孔の五十円玉が普通だったんですね。

少年期に固まってしまった常識というのは簡単には覆らないわけで、

そう思うと、前述の映画館のくだりとなんら変わらないエピソードと言える。

つまり、昔日の彼と同じくらいズレてきている、ということだ。

若人に「何言ってんだお前?」と言われなかっただけでも御の字か。

販売機で水を買う、という行為も

未だにほんの少しだがとんでもない贅沢をしてる感覚が拭えない。

そう言えば、フランスは水が不味くてみんなワインばっかり呑んでいるという。

水より安いんだそうな。

それで同じく水の不味い日本でもワインを中心とした仏料理が流行ったとか。

本当かねえ。

庄司薫のエッセイ「僕が猫語を話せるわけ」に、

氏の子供の頃は大陸移動説とは空想的な仮説に過ぎず、

それが証明された時に何やら現実が急にSFチックになったみたいなことが書いてあった。

 

これ、自分がそうだったら変な感じするだろうなあ。

あれ? パンゲアっていつからあったんだっけ? なんて言ったら、

若人から本気で心配されるだろう。

まあ、時代は巡り、歴史は繰り返す。

三十年たったら「物質転移装置っていつからあるんだっけ?」

「昔は電車で移動してたんだよ」とか言ってるかもですよ、皆さん。

 

 

LINEで送る

コラム

         

インタビュー

ミュージック

         

新作アニメ&特撮

人気プログラム

コラムカテゴリの最新記事