004|海堂薫「世界は変わる」

004|海堂薫「世界は変わる」
LINEで送る

FIX

UZAの「はい。今日も煮詰まってます。」
004|海堂薫「世界は変わる」

 

こんにちは! 作家のUZAでございます。

今回で通算5回目となります私のコラムですが、

少々久しぶりの更新となってしまいました。

楽しみにしてくれていた皆様、本当にごめんなさい。

お待たせ致しました!

 

では、今回もいつものように、

私が数多くの楽曲を提供させていただいております『テニスの王子様』から

おすすめの一曲をピックアップしてご紹介させていただきます。

 

今回も相当悩みましたが・・・

ズバリ! 今回のピックアップ曲は

 

海堂薫「世界は変わる」です!

 

私の中での薫君のイメージは「青春学園の高倉健」

薫君のその不器用なほど真っすぐな生き様が愛おしくてしょうがない!

という方も多いのではないでしょうか

 

私のようにベラベラと愚痴や言い訳を吐き出しまくる人間とは真逆の、

薫君はまさに男が惚れる男って感じがしますよね

 

どうでもいい情報ですが、私は京王線の府中駅を利用する際に

いつも心の中で「フチュ〜」って呟いてニヤニヤしております(笑)

 

さて、本題に入りましょう。

私が最初に薫君の作品を担当したのは

2002年8月7日発売のChain Reactionですが、

実はこの作品と同じタイミングで発売された

乾貞治のYOU GET THE POWERとこの「Chain Reaction」

私のテニプリにおける最初の作詞になります。

tenipri_20020807_kaidokaoru

まぁ乾の方は作詞というか・・・

レシピというか・・・

あまり歌詞的ではないので(汗)

実質的な処女作は

薫君のこの「Chain Reaction」です。

 

それまでの私は作曲家としての活動がメインで、

歌詞は仮のものしか書いた事がありませんでした。

でも、正直時々自分のメロディーに乗った歌詞に

違和感を感じる事がありました。

それは作詞家さんが悪いわけではなく、

私自身に作詞家としての素養があったからこそ感じた違和感だったと今は思います。

 

そんなこともあって、ある時思い切って当時の制作会社のディレクターさんに

「歌詞も書いてみたい」と申し出をしました。

 

で、作詞コンペに参加するようになり、

なんと最初のトライで作詞家デビューを果たしました!

(UZAとは違うペンネームで)

で、その次のリリース作品が薫君の「Chain Reaction」となります。

 

さっき読み返してみたんですが、我ながらデビュー2作品目にしては

主人公の事をよく理解して上手く書けていると思います。

 

多分、薫君の得意技「スネーク」から蛇のような「Chain=鎖」のイメージになり、

そこから「Chain Reaction」というワードが浮かんだんでしょうね

まぁベタですね(汗)

 

でも、歌い出しで「足元に絡み付く運命の鎖」って言っておいて

最後に「羽ばたこう 足元の鎖外して」なんて

お約束の流れは自分らしいなぁ〜と思いました。

 

「退屈な連鎖反応なんて断ち切ってやるぜ! フシュ〜」

な〜んて凄く薫君らしいじゃないですか! ねぇ! 奥さん!

 

と、どうでもいい情報パート2ですが、

英詩に出てくる「naughty boy」は、当時私が通っていた

美容院の名前から取ったと思われます(笑)。

 

おかげさまで「Chain Reaction」

ディレクターさんからもファンの皆様からも評判が良く、

私はその後も着実に作詞家としてもリリースを増やして行きますが、

ある日「九鬼貴一」というダークサイドに落ちて行きます。

 

おっと! なんか完全に「Chain Reaction」の話になってますね。

肝心の「世界は変わる」の話をしましょう。

tenipri_20040923_kaidokaoru

世界は変わる

「Chain Reaction」から約2年後の

2004年9月23日に発売になりました。

リリースは随分前ですが、前回の

テニプリフェスタ2013「共鳴」

でも披露されたので、

記憶に新しい方も多いのではないでしょうか?

 

このコラムで以前にもお話した『テニスの王子様 オン・ザ・レイディオ』

9ヶ月連続リリース企画の6番目の作品ですが

個人的にジャケットの絵は9作品の中でこの「世界は変わる」が一番好きです。

 

当時、私は歌詞を書いていて

あぁ、ひょっとして海堂薫って男は、青学の中で

いちばん中学生っぽいんじゃないかなぁ・・・

なんて思っていた記憶があります。

 

いやいや、それは手塚がもはや中学生には見えないとか、

カチロー達の存在を完全に忘れているとか、そういう話じゃなくてですよ!

 

なんつーか、誰よりも一番悩んで、ぶつかって、いきがって、

叶わなくて、厳しくて、でも優しくて、

そんで、つよくてねぇ〜、たくましくてねぇ〜、勇気があるしねぇ〜・・・

 

あ、あれ?

どっかからか子供の頃の貴乃花が混ざってしまいましたが・・・

 

要は、一番自分に似ている気がしたんです!

 

えっ? ・・・ええ、言われなくてもわかってます。

私はバンダナしませんし、よく喋りますしね

ビジュアルではなくて、精神的な部分で似てるんじゃないかなぁと、

そう思ったんです。

 

メロディーの方はとにかく音域をそんなに広げないで

低く低く海堂ワールドを聴いてもらおうとしたら

楽曲として地味になりすぎちゃって(汗)

急遽サビで喜安さんにユニゾンで1オクターブ上でも歌ってもらいました。

 

その当時は、さすがに1オクターブ上の歌声は

ちょっと海堂じゃないよなぁ〜ファンの皆さんが何て思うかな〜

とかビクビクしていましたが、これも怪我の功名となったのか?

その後のテニプリ作品では多少キャラから外れても

キャストの皆さんにガンガンコーラスやってもらってます。

 

キャラから外れるからと言って、別人でコーラスやっても、

結局もっとキャラじゃない声が重なる訳ですし、

あえて本人以外の声が欲しい時もあるのですが、

基本はご本人にお願いする事が多いです。

音楽的なクオリティーへのこだわり。という事でご理解下さい。

 

またまた余談ですが、

僕の中でコーラスが上手い人の代表は置鮎さんと保志さんです!

 

置鮎さんには、それこそ相当数のコーラスをやっていただいておりますが、

スタジオでいきなり思いつきでお願いしても、サラって出来ちゃうんです。

 

保志さんも、前回の学校別アルバムでお願いしたんですが、

その感の良さに驚きました。

リズムもバッチリ合わせて来てくれるんです。驚きです!

 

みなさん、いつも無茶ぶりごめんなさい!!

 

さぁ、しれっと謝罪を済ませた所で話を戻しましょう

 

喜安さんは、薫君のあの低い声で歌うのは大変だと思いますが

毎回すごく私の意図している海堂薫を理解してくれて

曲に何倍も説得力を持たせてくれるんです。感謝です。

 

テニプリスタート時は、現在と違って

アニメのキャストの皆さんがほとんどマストで歌を歌うなんてことはあまり無く、

喜安さんの海堂薫や、高橋広樹さんの菊丸英二とかは

キャラ作りの段階で全く歌う想定は無かったと思うんですが、

作り手としては、逆にそういうキャラこそ

腕の見せ所って感じで楽しませていただいております。

 

そして、「世界は変わる」の後もアルバム蛇ガラでは

tenipri_20070912_kaidokaoru作家としても、ディレクターとしても、

喜安さんと作品作りをさせていただき、

近年では私がプロデュースしたドラマCD

エンリコ・イリソギシリーズの

脚本でも大変お世話になりました。

 

そして、喜安さんの出来心で、ナント! 私は

エンリコ・イリソギ役を演じる事になりました。

 

「Chain Reaction」の歌詞を書いていた頃に、

そこからの出会いで将来自分が演じる側になるなんて!

そんでもって、キャストの皆さんと同じステージで

グダグダの司会っぷりを披露する事になるなんて!

 

夢にも思わなかった。

 

このコラムを書き始めて気がついた事

テニプリの歴史を紐解くと必ず今に繋がってくる

そういう作品なんですね、テニプリって。

 

そして、これからもまだまだ進化していくんですね。

 

今や日本で指折りに忙しい脚本家になられた喜安さんですが、

もしも願いが叶うなら・・・

いつの日か『蛇ガラ2』を作ってみたい。

 

また、キャストの皆さんの収録を見ながら腹抱えて笑いたい。

いつの日か・・・

 

という訳で! 今回はここまで!

海堂薫の「世界は変わる」

是非! あなたのミュージックライブラリーに入れてみて下さい。

 

次回は、乾貞治にズームイン!

 

 

 

LINEで送る

コラム

         

インタビュー

ミュージック

         

新作アニメ&特撮

人気プログラム

コラムカテゴリの最新記事